言わずと知れた今や飛ぶ鳥を落とさん勢いの作家。
池井戸潤さんの作品です。
主人公の平田を中心に、必要悪?の「談合」と言う壁と、そこにかかわる人達と真っ向から
向き合っていると言う人間ドラマです。
会社人として人事異動には異を唱えられない。
曲がった事をする現場の作業員をぶん殴ってしまうという、真っ直ぐで現場が好きな平田に来た移動先は、「談合課」と揶揄されている「業務課」。
銀行勤務の彼女との距離は遠くなり、次第に彼女の心にも変化が現れてくる。
そして、影の大物三橋と幼馴染の平田の母親との関係。
淡々と進んでいくように見える旧態依然とした談合だが、
そこには、会社を守ろうと必死になっている面々がいる。
読者としては、銀行とゼネコン、そして下請けや資材屋との関係を、ある時は「あたりまえでしょ!」と、
またある場面では「嫌なやつ!」と、談合とは本当に必要なのか?それとも、やっぱり正当真っ当に勝負すべきなのかを考えさせられる小説でもある。
しかし・・・最後結末は。
なるほど、社会人になるという事は、時間とそれに伴う経験の積み重ねなんだと。
若いうちは手駒になって動きまわされて、色々な経験をして、気持ちや心をいっぱい成長させられる時間をどれだけ多く持てるかが、大事なんだなぁ。