太宰治の作品って、どちらかと言うと暗いイメージがあります。
「人間失格」なんて、その最たるものではないでしょうか。
でも、「走れメロス」のような、真の友情と絆とはなにか!
を、太宰治が精神的に正常な時期に書いた、作品もあります。
この「津軽」は、また違った太宰治の一面を見ることが出来ます。
友と酒を飲み嫌だった故郷を、もう一度懐かしく回想する。
そして、最後に・・・。
人と人の巡り合いって、こういうもんなんだなぁ~と、さすが太宰!
と、思わされます。
そして、もっともこの作品を最後まで読んでみようと思った初めの頃の一文。
津軽の小説家葛西善蔵の言葉。
「青森の八甲田よりも弘前の岩木山は秀麗である、でもな自惚れちゃいけねいぜ、岩木山が素晴らしいのは岩木山の周囲に高い山がないからだ。他の国に行って見ろ。あれくらいの山はざらにあら。周囲に高い山がないから、あんなに有難く見えるんだ。自惚れちゃいけねいぜ」
太宰作品は何を読んでも、胸にしみる一文がある。